風が吹けが桶屋が儲かる。

私たちは、何らかのマーケティングを行う際、売上や利益をあげるための予測を行います。

ターゲットの数、市場性、広告認知度、などなどの項目を予測し、それぞれの項目を数値化することによって費用対効果を見極めようとします。

無理矢理感が強いこの「風が吹けば桶屋が儲かる」も、ひとつひとつの事象の確率が計測できれば、風が吹いた時にどのくらい儲けが出るのかを予測することができるかもしれません。

 

現代の風は、為替とオイル価格です。

 円安に導く方法には二種類あります。

 

円を安くするには円を増やせばいいことになりますが、大きく分けて増やす方法は二つあります。

  1. 国外で円を増やす
  2. 国内で円を増やす

 1がいわゆる為替介入という物で、政府(実行するのは財務省)がドルを買って円を売ります。こうすれば海外で円が余りますので円が安くなります。平成15年(2003)に小泉政権が大々的に行った円売りドル買い介入(溝口介入)がこれにあたります。

 

 2が金融緩和で、貸出利子を下げてお金を借りやすくして国内で円を使う人を増やします。もっと増やしたい、あるいはそれでも借りてくれる人が増えない時には、日銀が手形や国債を民間から買い入れることで円を増やします。

 

 1はより直截的で効果が出るのも早いのですが、円キャリートレードが発生して外国でバブルを醸成したり、円安となって日本の輸出が増えて輸入国の産業が打撃を受けた時に、日本が「自分勝手だ」と攻撃を受けやすい難点があります。目立つやり方ですのでそう簡単には使えません。

 

 2は国内の問題ですので外国からは非難されることはありませんが、主に金利収入に頼っている人(資産家、地主、年金生活者)は収入が目減りして生活が苦しくなります。給与生活者は給与の引き上げがインフレに追いつけば実質的にはそれほど生活が苦しくはなりません。

 

 もう一つ1の変形として「外国に援助の名目で円を配る」というやり方もあります。戦後に賠償の名目で東南アジアや支那に配った円借款です。円をもらった国は円で商品を買わざるを得ないので日本産業の振興に役立ちます。円よりもドルが欲しいと考えれば、円を米国や欧州に売ることになりますので円安になります。さらに円を手に入れた米欧は日本の商品を買ってくれます。援助(賠償)というのは意外に無駄の少ない産業振興策なんですね。

 

 そう言った意味では排出権取引の名目で日本のお金を新興国や発展途上国に配ることは産業の振興に役立ちます。しかしながら、財源を税金にすると国内の消費と生産を萎縮させますので財源は別途考えるべきと思われます。

 

外国に円を配る=円安になりやすい=トヨタなどが儲かる

このような仕組みがあるのです。

日本は輸出国家なのです。