広告業界はこの10年で、大きく変わり、再編されるでしょう。

1990年代。この時はバブル真っ盛りです。
広告業と言えば、CMプランナーがもてはやされました。広告主も広告予算は潤沢に持っていて、
テレビCMの枠は、大広告主がごっそりと買い、一見さんはなかなか買えなかった時代です。

1990年と2000年の10年間の変化よりも、2000年から2010年の10年間の変化の
ほうがドラスティックな変化ではないでしょうか。

ひとつはインターネットの出現が大きなものです。
消費者の購買行動も変わり、メディア価値も変わりました。

さて、ここから2010年から2020年の10年間はどのようになるのでしょうか。
いくつかの要素があります。

一、インターネットがますます勢いを増していくだろうということ。その結果、広告代理店の
  メディアマージンビジネスが縮小していくだろうということ。


二、テレビがデジタル化することにより、広告主の悲願であった広告効果測定が可能になる
  ということ。その結果、広告代理店の評価基準が明確になっていくということ。


三、少子高齢化が進むことによって、F1、M1中心だったターゲット戦略から変化が
  あるだろうということ。


四、メディアプランニング、メディアバイイング、アカウントプランニングという今までの
  クリエイティブやプロモーションと比べて、広告代理店の中で行われてきた役割も、
  外部のプロフェッショナル集団が生まれるであろうということ。


五、総合広告代理店は、総合商社的な役割を担うだろうということ。


六、四つ目にあげた業務の細分化により、世界的なコラボレーションが出てくるということ。


七、認知獲得型から、顧客満足型のマーケティングに変わる。すなわち、狩猟型広告から、
  農耕型広告に重点がシフトすることによって、広告費の掛け方が大きく変化するということ。


八、誇張が通じない(ネットがもたらす透明化)ことにより、広告クリエイティブの
  あり方も大きく変化するということ。重要なことは、クリエイティブではなく、
  アカウントプランナーが導き出す全体のストーリーとなる。


九、広告業は少数精鋭にならざるを得ないということ。


十、広告収入に頼るテレビ、新聞、雑誌、ラジオとの共同作業で、今の広告収入スキームでは
  ない広告収入スキームを確立しているだろうということ。

総合的に書くと、本が1冊書けるレベルですし、書かないとわからないと思うので、簡単に
ポイントだけを書きました。
もっとも大きなポイントは、テレビが広告の主役となった1970、1980年代から30年間以上続いた「広告露出、出稿スタイル」の骨組みが変わるということです。


10年間づつ遡ると、それぞれ変化はありますが、これから10年の変化は、いままでの変化とは
異なる根本的な変化なのです。
すでに、その波は来ています。その予兆を感じていない広告主が、広報宣伝の失敗を知らず知らず
おかしていることもあるのです。それを助言すべき存在がいないからでしょう。

 

今ある広告代理店が10年後も強いとは限りません。それほど大きな変化が、この10年で訪れる
可能性があるのです。